入試ガイド・問題集2023
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美術学科洋画専攻❷❶❷❶  41銅板の美しさが一際目を惹く秀作である。下描きからモチーフの質感に反応しており、個々の特徴を丁寧に解釈して描画している。中心が強い構図だが、モチーフのアウトラインを調整して周囲との調和を図り、奥行きのある空間を作っている。下色を効かせた変化に富んだタッチも巧みである。木目を質感、奥行きの両方で生かした画面構成には作者の大局的な視点を感じる。ハイライトと影色の表現にもっと幅が出せるとなお良かった。「下描き」での考察方法からも読み取れるが、緻密に計算された構図や抑制のきいた色彩から作者の知性が感じられる作品である。艶やかな赤いミルに魅力を感じたのだろう。それと呼応するように配置された緑の手袋がユニークな存在感を放っている。葉やボールなどの丸味を帯びたフォルムが画面の中で大らかなリズムを作っており、伸びやかに塗り込んだ絵の具のつきも心地よい。形に対する客観性と瑞々しい感性を併せ持つ点を評価した。【油彩】【油彩】

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