韮崎大村美術館は、本学の名誉理事長でもおられる韮崎市出身の大村智博士が長年に渡って蒐集してきたコレクションをもとに2007年に開館されました。大村博士は、「優れた美術品は個人で楽しむものでなく、人類全ての共有財産である」との思いから建設に至り、翌2008年、故郷のさらなる芸術・文化振興のために活用されることを目的として美術館を韮崎市に寄贈されました。また同年には、韮崎大村美術館と本学において美術品等の相互協力協定を締結。そして2014年には、韮崎市とも連携協働に関する協定を締結し、韮崎大村美術館と韮崎市と本学はこの協定のもと、教育・文化の振興・発展、人材育成、まちづくり、産業振興等の推進・発展に貢献しています。Report259月〜11月にかけて、本学卒業生で昭和の洋画壇で活躍をした森田元子先生(1903-1969)の生誕120年を記念した「生誕120年 森田元子展 彩・線・形」が開催され、学芸員によるギャラリートークも行われました。本展覧会では美術館に所蔵されている美術館所蔵の全52点の中から精選した24点の作品に加えて、森田先生に所縁のある日用品も展示。ギャラリートークでは、初期から晩年の作品を当時の様子を振り返りながら、独創的な変遷を見せた森田先生の作品の魅力に迫りました。6月〜8月にかけて本学名誉教授である馬場章先生の「版画+(プラス)馬場章 銅版画展」が開催されました。6月11日には、大村先生の生家かつ国の登録有形文化財でもある「螢雪寮」にて、馬場先生によるトークイベントも実施されました。トークイベントでは、幼少期から今日までの活動を、当時馬場先生に大きな影響を与えてきた恩師の方々を挙げながら振り返るほか、美術館にて展示をされていた『Planetariumシリーズ』やフォトグラヴュールを用いた『A corner of the gardenシリーズ』、ピンホールカメラより着想を得た『Twilight Fieldシリーズ』など馬場先生の実験的な手法を多くの作品と共に紹介されました。トークイベント終盤、自身の制作活動を振り返って「やはり自分は大学に勤めていたのが非常に大きかった」と馬場先生は語ります。「他人の書いた本でいくら講釈をしても上手く教えることはできない。まずは自分で、そして学生と一緒に実験をして上手くいったことを教える。大学にいたお陰でたくさんのことを経験することができました」多くの聴講者が参加をした今回のトークイベント、温かな拍手と共に幕を閉じました。生誕120年 森田元子展彩・線・形韮崎大村美術館 展覧会レポート「版画+(プラス) 馬場章 銅版画展」
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