美術学科洋画専攻❷❶❶ ❷33素材の特性を最大限活かし描き切った傑作。下描きからも構図の狙いを十分に理解し、制作プロセスを逆算しながら取り組んだことが分かる。光源を意識しながら明・中・暗を組み立て、瑞々しいキャベツの緑と赤布の対比を効かせながら、木目の違いや、布の表情もしっかりと描いている。メインのキャベツやシャンパンボウルのフォルム、丸太やブロックの構造を抑えながら、目線に合わせた個々のパースも正確に捉えている。シャンパンボウルの映り込み、ガラス台の厚みや反射も描けており、何処を取っても申し分のない見事な作品である。下描きからシャンパンボウルの映り込みに強く惹かれていることがわかる。それを主役にガラスの映り込み、布の光沢、果物の艶など、モチーフによって異なる光の反射を魅力的に捉え、瑞々しい色彩で表現している。また、個々のハイライトの違いや質感を描き分けてリアリティのある空間に仕上げている。色と形が単調にならないように全体の明暗と立体感が意識され、主役と背景の描き込みの強弱も自然で良い。タッチを生かし画面上で混色して描かれた細部が美しく、モチーフの暗部は色に深みがあり画面を引き締めている。【油彩】【油彩】
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