入試ガイド・問題集2025
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美術学科洋画専攻❶❶❷❷  35大胆な構図と伸びやかな筆致に目を惹かれた作品だ。「下描き」では静物全体を捉えているが、構図を冷静に検討した結果、「油彩」では魅力的だと感じた部分にフォーカスを当てている。シャンパンボウルの映り込みの不思議さに加え、ホースや鳥よけ棒などのモチーフの曲線が螺旋を描くように視線の移動を促し、気持ちを解放させるようなおおらかな画面となった。補色を効果的に使った鮮やかな色彩は華があり、中間色の色味の変化も調和が取れている。作品の背景に作者の力強い生命力や創造性を感じることができ、評価した。まず下描きを見ると、さまざまな気づきをメモしている。油彩では、色や形などを独自の絵画的要素として抽象化し、絵具のマテリアル感を活かした大胆な表現に展開しているが、それが下描きを基に再構築した関係性である点を評価した。この下描きと油彩に見られる差異の二重性や多種多様性は、想像と現実を往来する感覚であり、他のメディアやテーマを柔軟に繋いでゆく可能性も備えている。パースペクティブを意識して背景まで描いている作品からは、見えた世界への執心も伺え、観る側の共感性も生み出している。【油彩】【油彩】

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