スペース表現領域教員インタビュー210アート・デザイン表現学科に、2024年度から新たに設置されたスペース表現領域。その中心を担う2人の教員が、本領域での教育にかける思いと、領域の特徴や魅力について語ります。スペース表現領域が生まれた理由スペース表現領域 教員インタビュー西田 スペース表現=空間表現。こう聞くと、建築やインテリアに関わることを学べる場所?と思う方がほとんどだと思います。ですが、私たちが目的としているのは、そのイメージとは少し違っています。背景にあるのは、「建築、インテリア、都市計画といったような専門的な領域にゴールを定めるのではなく、人間の根元にある感覚や欲求をよく知ることから空間にアプローチしたい」という思いです。たとえば建築物の始まりは、人間が安全に過ごせる場所(シェルター)です。そこに居心地の良さが加わり、装飾性が現れ、建築という分野はどんどん発展してきました。それと同時に建築は、意匠設計、構造設計、歴史家、法律関係など、高度に細分化・専門化され、作るための技術や知識の方にフォーカスが当たっていきます。技術先行のあり方は高品質なものを生み出せる一方で、人間の感覚に直結したプロセスがとりづらくなってしまうという課題もあります。こういった背景があり、スペース表現領域では「空間ってそもそも何?」というところから空間の原点を知り、原初の視点を持って空間そのものを見つめ直すことができる人を育てたいと考えています。空間の原点に立ち返り、人間の感覚を大切に学ぶことができる場所。そんな学びの場をめざしてスペース表現領域は生まれました。空間の可能性をひらく「スペース表現領域」ってどんな場所?
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