大学案内2025
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211Photo:上澤友香後藤 加えて、今の時代背景もありますよね。僕が社会に出た頃はモノやデザインがまだまだ足りなかった時代で、人のことを考えてつくられていないものも数多くありました。でも今は社会が成熟して、ほしいものはすぐに手に入るし、身の回りのほとんどが「デザインされたもの」ですよね。インテリアデザインでも建築でも、すでにさまざまなことが実現されていますし、完成度もすごく高いんです。一方、新たな潮流としてメタバースや情報空間、サイバー空間が注目され、チームラボに見られるような新しい形の空間アートの出現など、空間の概念はどんどん拡張しています。さらに、テキストや絵画、イラストの分野でめざましく発展するAI技術は、遅かれ早かれ空間の分野にも入ってくるはずです。そこで忘れてはならないのが、やっぱり空間は人間のための空間であるということ。AIが出す多様な答えに対して、人間の感覚を大切にして、正しい選択ができる人を育てる必要があります。今までの世の中と、空間のあり方が大きく変わっていく時代。私たちはこの先の社会のためにまず「何を描くべきか」「何をつくるべきか」をしっかりと考えていきたい。これからの世の中で「何が必要か?」をしっかり描ける人を育てることも、スペース表現領域のめざすところですね。

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