大学案内2025
246/372

大学院美術研究科学生作品じと244ファッションテキスタイル王 好雨 「自和紙/縒る、草木染め、編む/H3500×W4000mm(奥行き可変)渡」「生命」とは何かという研究テーマのもと、仏教の経典『般若心経』の「空」から考察を行い、紙を素材に衣服造形表現を行った。「自渡」とは「苦から空へ向かう最中」を意味する中国語である。苦とは、人生における四苦八苦を指し、四苦は、人間として逃れられない生、老、病、死という苦しみで、愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五蘊盛苦という自己内部に沸き起こる苦を合わせて八苦という。「苦」に包まれた人間は、解脱への道に、うろうろと徘徊して一生を過ごす。本作品では、苦から解脱を求める姿を「自渡」と捉え生命の意味を問いかけた。アートプロデュース胡 听雨 「Sit down, please!」 毛糸、プラスチック棚/H1500×W3200×D3000mmある問題が明らかに大きくなっているにもかかわらず、人々がそれを見て見ぬふりをしていることを意味する英語のスラング「the elephant in the room(部屋の中の象)」からインスパイアされ制作を続けているシリーズ作品。フェミニズムアートへの探究から、毛糸を編んで作られた巨大で抽象的なピンクの象のイメージを空間に配置し、視覚的に強いインパクトを与えることで観客を作品に惹きつけ、現代社会に存在する男女不平等の問題への気付きを与えようとしている。

元のページ  ../index.html#246

このブックを見る