大学案内2026
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※文中敬称略。各領域名称は以下のようにアルファベットで記載しています。メディア表現領域=MD、ヒーリング 表 現 領 域 =HL、ファッション表 現 領 域=F、スペース表現領域=SE、クリエイティブ・プロデュース表現領域=CP117新 体 制のアート・デザイン表 現 学 科は、各領域の専門教育に加えて、領域間連携をより強く意識したカリキュラムに変わりました。そこでどんな表現が生まれ、どんな力が育まれていくのでしょうか?季里(MD) 「専門と専門が重なり合うところにある、中間領域を見つけていく。これは、アート・デザイン表現学科がこれまで以上に大切にしていきたい、大事な考え方です。大学の教育で専門性は高まりどんどん分野が細分化されていくけれど、一方で世界はつながっていて、ありとあらゆる分野には横のつながりがあります。専門と専門を組み合わせていくことで生まれる化学反応を、新しいアート・デザイン表現学科ではきっとたくさん目にすることができると思います。メディア表現領域は時代の先端を意識したデジタルを中心にした表現を行っていますが、他の4領域の専門分野にデジタルのエッセンスを加えることで、新しいコラボレーションやチャレンジに貢献できると思っています。あらゆるジャンルは融合していきます。ここでの学びを通して、新しいジャンルを生み出せる人を育てていきたいですね」保高(HL) 「ヒーリング表現領域は医療や福祉の現場で空間芸術としてのヒーリング・アートに取り組んできました。空間を単に物理的なものとして見るのではなく、『そこに人がいる場所』ととらえることで、私たちはもっといろいろな広がりを手にすることができます。たとえば、ファッションとの融合によって、医療空間における着衣、入院着や医療スタッフのユニフォームのよりよい形を考えることができます。あるいはメディアやスペースと融合することで、VRや嗅覚、触覚を使った展開を考えるのも楽しいかもしれません。そこに私たちが積み重ねてきた『そこにいる人たちをしっかり見る』という、作品の向こうにいる人の解像度の高さのようなものを併せ持つことができたら、きっと新しい表現につながっていくと思っています」山 村(F) 「ファッション表 現 領 域では、新しいカリキュラムのなかで、人の手でつくりだすアナログな技術や発想と、その想像の世界をさらに広げるためのデジタルを融合し、自由に行き来できる力を育てることに力を注いでいきます。これからの社 会、あるいはサイバー空 間や宇 宙空間においても、衣服は欠かせないものです。人が装うことを止めることは、ないはずですから。たとえばメタバース上でファッションを提供したり、身体の不自由な方が介護者の選ぶ介護しやすい服ではなく、着る人と共にデザインする仕組みを考えたり、ファッションにはまだまだたくさんの広がりや可能性があります。それぞれ違う学びをしている学生同士のアイデアが融合することで、単独では出てこないような、未来につながる社会の姿やカタチが学生たちから出てくるのではないかと期待しています」後藤(SE) 「アート・デザイン表現学科には、これまで4つの領域がありましたが、それぞれに空間と大きく関わる分野がもともと存在していました。そうであるなら、空間における専門性と各領域の重なりの部分を学科全体で融合することで、新しい分野を開拓できるのではないか? という発想が、スペース表現領域の起源の一つでもあります。AIの時代、バーチャルとフィジカルが融合する6G時代の到来もすぐそこ。これからの社会はより複雑化していくことが予想されます。そのなかで、新しい視点で10年後を考えられる人を育てるのは大事なことです。それぞれの領域とつながり合いながら、人の生活の舞台である空間のことを枠にとらわれずに考えていく。5領域の間で、いい感じの関係ができていくといいなと思います」日沼(CP) 「私たちは、2024年度にアートプロデュース表現領域から、クリエイティブ・プロデュース表現領域へと名称が変わりました。これまでも、美術を中心に演劇、音楽、映像などさまざまな表現に取り組む授業を展開してきましたが、アートからクリエイティブに名前を変えることで、その幅の広がりをより明確にしたいという思いがあります。美術はもちろん、日々のさまざまなクリエイションの中には、人間性を回復する力があります。そういう力を引き出せるプロデューサーを育てたいと思っています。領域融合の学びのなかでは、特に私たちは他の4領域から学ぶことがたくさんあると思うんです。表現の追求、制作へ向かう態度やプロセス、それらを一番近くで観察し、良き『伴走者』としてどのようにその魅力を伝えるか、誰に届けるべきかを考えて実行していく。表現の可能性をさらに拡張する、媒介者の役割を果たしていきたいと思っています」5 領 域 が 混ざり合 い生まれるもの

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