141細野琴巳 「Hair×Clothes 」ヘアエクステンション/ 編み、縫い /卒業制作モノづくりの面白さを最初に教えてくれたのは両親だった。父と母は美容師でお店も経営している。2人のセンスが散りばめられたお店に潜り込み隠れて読んでいたファッション誌には、刺激的な髪型やカラーが沢山載っていた。店に来るお客さんたちが、父と母が施した髪型に嬉しそうにお礼を言って帰っていく姿。その人の服装や雰囲気に一番似合う髪型を提案する両親は最高にカッコ良いと思う。子どもの頃は毎日のように服やその日の気分に合うよう髪を結ってもらったことは最高のおしゃれだと感じていたけれど、何不自由なく毎日楽しく過ごしていたことに気づいた時、髪型や装いを考え、創ることは暮らしを豊かにすることだとわかった。独自性を考えた時、私には髪と服を組み合わせる以外に選択肢はないと考えた。床に落ちた髪の毛は、あるべき場所にないと違和感や嫌悪感を感じるが、整える、スタイリングすることによって、ファッションとクリエイションに必要な新しさを提示できると同時にこの作品を通して創ることの意味を教えてくれた両親に感謝を伝えたい。
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