撮影:木奥惠三155研究展示/卒業制作/制作期間(構想〜制作):7ヶ月男性中心だった彫刻の世界を切り開いた日本の女性彫刻家の活動に焦点を当て、研究を行った。「如何にも彫刻は男性的の仕事です。フィデヤスや、ドナテロや、ミケランジェロや、ロダンや、鳥佛師や、問答師や、運慶などといふ男子が一生かかってやった程の仕事です。」これは、1920年に彫刻家高村光太郎が記した文章である。このような時代の中でも彫刻家を志す女性は現れた。その時代から、女性への彫刻教育が整う1960年代までを日本における女性彫刻家の始まりととらえ、これまで単独で語られることのなかった彼女たちの活動をまとめた。インスタレーション/映像 17分 21秒 展示サイズ H2650×W2135×D243 mm (サイズ可変) /卒業制作/制作期間(構想〜制作):7ヶ月身体の内側で痛みが起こっていたとしても、外側からは 視えず、聞こえず、本人が声を上げなければ気づくことはできない。私の内側に現れた痛みは、お腹の痛みだった。ゆっくりと、じわじわと、ときに握りつぶされたかのような、神経が痺れるような、不規則に続く痛み。私の日常を一変させたお腹の痛みは「過敏性腸症候群」と診断された。毎日繰り返されていくこの痛みが、いつか終わることを何百回と願ってきた。しかし、もう日常の一部となったこの痛みは、次の日へ、また次の日へと続いていく。いつか終わって欲しいと願っても、その“いつかの終わり”は一日だけで、今も、そしてこれからも“いつかの続き”が繰り返されていく。ミシンの灯りがついたとき、私が感じたお腹の痛みが鑑賞者の前に現れる。他者が痛みを感じた瞬間と出会った時、日常の中で気づくことのなかった、誰かの痛みに気づくのではないだろうか。毎日繰り返されてきた痛みと、今この瞬間に現れている痛みを可視化することで、誰しもが抱えているかもしれない痛みと出会うことを試みた。 山口日菜子 「 彫刻を始めた女性たち」 井口結月 「 いつかの終わりと いつかの続き」
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