授業紹介学生インタビュー箔講義(1年次)絵具制作(1年次)紙漉き(2年次)古典模写(3年次)055日本画専攻 3年(取材当時)北村美央子さん東京都立小金井北高等学校(東京都)出身日本画専攻を選んだ理由は?高 校2年 生の時に美 術 館で日本 画の展 示を見たことがきっかけです。写実的で丁寧な画風と、岩絵具の宝石のように美しい質感に衝撃を受けました。また、五美大展での女子美の展示が、自分の好きな世界観と近しいものだったことや、女子大であるという安心感もあり、芸大と併願で女子美の日本画専攻を受験しました。日本画専攻の魅力は?日本画制作には欠かすことのできない岩絵具を、自ら制作できることです。2年次の講習で作り方を学んで以降は、キャンパス内にある工房(顔料創造ファクトリー)でいつでも好きな色の絵具を無料で作ることができるので、大きな作品にも気兼ねなく取り組むことができます。また、作品の構図や進路で悩んだ時、教授陣が親身に話を聞いてくださる環境も魅力。助けてくれる大人がいる安心感のなかで、のびのびと制作できています。女子美での学びを通じてどんな成長を感じましたか?女子美に来るまでの私にとって、絵を描くことはある意味で威嚇の手段になっていたように感じています。こんなに上手く描けるのだと他者に見せつけて、自分が安心するために描いていたような……。でも、同期に囲まれて一緒に制作をするうちに、上手いかどうかよりも、自分が伝えたい感情や、感じてほしいものを表現することに真摯に手を尽くすという描き方を知りました。女子美での日々のなか、精神的に穏やかになったことは、私にとって大きな成長です。日本画の表現にとって重要な材料である、箔の種類や扱い方の基礎を学びます。箔のあかし方の指導を受け、実際に銀箔の平押しに取り組みます。砂子の蒔き方、切箔など大変専門性の高い実技中心の授業です。岩絵具の製造・研究のための設備が充実している女子美。「絵具制作」は、日本画の伝統的な材料である天然岩絵具や女子美オリジナルの「エコ岩絵具 21」などを、実際に制作できる授業です。特に「エコ岩絵具 21」は、学生がそれぞれの制作に必要な色をいつでも自由に製造することができます。学生が自由に利用できる紙漉き工房を活用し、和紙の科学・歴史・実践を多角的に学び、日本画の基底材として一般的な和紙についての理解を深めます。紙の原材料である植物(ミツマタ)もキャンパス内で栽培しており、収穫から抄紙までを学べます。「扇面古写経」は、墨流しや金銀砂子の技法が使用されており、古典技法を学ぶのに適した作品です。授業では、研究室が所蔵する質の高い模本のなかから、各自好きな場面を選んで模写を行います。上げ写しで線描を写し取り、古典的な絵具の使い方などを学び、じっくりと古典作品に向き合います。のびのびと、穏やかな制作環境のなか精神的にも大きく成長しています
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