クリエイティブ・プロデュース表現領域パンフレット2023_1
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南嶌 宏1957-2016。美術評論家。APの初代主任教授のほか、いわき市立美術館、広島市現代美術館、熊本市現代美術館などの立ち上げに関わり、2004-08年は熊本市現代美術館館長、2009年は第53回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館コミッショナーを務めるなど、現代美術の分野に幅広く尽力した。ウェルビーイングwell-being。身体的・精神的・社会的に良好な状態(特に社会サービスや福祉が充実し、満足できる生活状態にあること)を指す。「ミュージアムスタディ演習」。学生による展覧会の企画をプラッシュアップするためのプレゼンテーション、講評会の風景09Keyword 06Keyword 07のずと出てくる表現は本物だと思います。でも、あんまりシリアスにならないで、ユーモアをもってほしい。そういうことから始めるというのは大事ですね。潘:「アートプロデュース表現領域」だった名称が、2024年度からは「クリエイティブ・プロデュース表現領域」に変わります。日沼:アートや表現のある場所は、今どんどん拡張してきていますよね。この領域を創設したときの主任教授だった南■■■■■■■■嶌宏先生は、もちろんそのことを先見的にわかったうえで、それを美術館の中で表現していった人なんですよね。アートプロジェクトや芸術祭は近年、美術館の外にその場所をどんどん拡げていったけれど、南嶌先生は最終的にそれらを美術館の活動に集約させていくという意味で、「ミュージアムスタディ」の実践として、いろいろなことに取り組んだ。その流れのなかで、この領域では学芸員を養成する授業も開設されているので、CPでもそれは引き続き踏襲していきます。パフォーマンスを館内でやったり、アーティストの活動そのもののアーカイブをプロジェクトとして進めたり、おそらく美術館の中で行なわれることも今後はさらに増えていくはずですしね。そのかたわら、いろいろな地域での芸術祭しかり、まちづくりという名のもとであらゆるアートイベントが美術館の外で行なわれていますし、福祉やウェルビーイングという公共的な軸でも表現がま美術館の外に出ていく生きていることは、何でも表現になりうる 潘:この前も、6年間ほど剣道をやっていて、まったく美術をやったことがないという学生と話していました。その人は、剣道の経験が今美大で何かの表現に生まれ変わるなんて、当時は何ひとつ意識してなかったはずなんだけど、そういったこともここでは自ら拾ってあげることができる。「自分にとっての表現って何だろう」というところと、これまで経験してきた剣道をつなげて、そこからも何かしらの表現が始まるという。日沼:そうなんですよね。これはAP時代からの名物なんですけど、今でいう「総合選抜」という受験形式では毎年、自分の得意なもので自分をプレゼンテーションしてもらうんです。形式は自由。私も初めてその面接に立ち会ったときは本当に衝撃を受けたんですけど、「今から踊ります」とか、かと思えば紙芝居が始まったり、ガールスカウトの手旗信号で自己紹介とか、次から次とパフォーマンスが始まる……受験生自身は「これって試験?」と思いながらやってると思うんだけど(笑)、面接官の側は「それだよそれ!」って大興奮してる。生きていることを一生懸命表に出していくことが、何でも表現になりうる可能性があるというのは、本当に面白いし、毎回、受験生たちの姿に感動しています。潘:自己表現=他者とつながるための表現だという意識は重要だし、自己紹介だって本来は、自分が経験した世界、見てきた世界を他人と共有しているだけなんですよね。日沼:自分のままで、誰かの前に立ったときにお

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