Photo: Atsushi Yoshihama博物館の進歩発展を目指す国際的な非政府組織「ICOM(International Council Of Museums)」が策定した「ICOM職業倫理規程(Code of Ethics)」。このなかで博物館は「社会とその発展に奉仕する一般に公開された非営利の恒久的な施設で、人々とその環境の有形および無形の証拠を研究、教育および娯楽のために収集、研究、伝達および展示を行なうもの」と定義されている。国際的な博物館の職業倫理規定10Keyword 08すます必要とされている。それらはただ楽しさや喜びをくれるものというよりは、表現を受け止める人たち自身もクリエイティブであるとか、あらゆる人たちのより良い生き方を支えることをミッションとしています。そういう意味でも、アートに関わっていたり表現する人だけがクリエイティブなんじゃなく、世の中に存在しているあらゆるクリエイティブなものを、新しく表現として発見していく視点が求められてくる。CPでは、もっと街や社会にどんどん出ていって、誰もがクリエイティブでいられる生き方が約束される世の中を一緒につくっていく、そんなイメージです。かたや、「アートかエンターテイメントか」っていう議論もほとんど意味をもたないぐらいに、エンタメの現場もアートの表現を最近は積極的に取り入れてきていて、境目がなくなってきていますよね。それは過去、アートがその舞台を開拓してきたからこそでもある。ですから、大切にしていることはAPの時代とも共通しているんだけれど、エンタメの領域に携わっている方々にも新たに講師として来ていただく予定です。人間の幸福だったり、余暇や娯楽という点では、おそらくどちらも根っこは一緒だと思うんですよね。実は国際的な博物館(美術館を含む)の職業倫理規定のなかでも、施設の定義として「娯楽のために」ということが書かれているし、エンタメの領域は、もともとその「娯楽」のなかに含まれている。そういった状況下でも、「これまでの価値に支配されず、新たな表現に挑戦する」という強い基軸を、アーティストたちは変わらずもち続けていくと思います。そこを社会のなかでどのようにつなげていくかというのは、これからの課題ですし、CPが開拓していくテーマになっていくだろうと思います。潘:表現って誰のものなのか。それはさっきの「表現する権利や欲求は誰にでも平等にある」という話とも、「美術館の外に出た作品はどうやって存在していくんだろう」という話ともおそらく関係するところですよね。でも、美術館や博物館が収集・保存していったからこそ、私たちは数百年前に市井の人に使われていたお茶碗にだって出会うことができる─ミュージアムって、そういう力をもっていると思うんです。そこで、美術館の内側/外側とか、生活と表現とか、あらゆる物事をつなげて考えられることを目指していきたいですね。日沼:「アート」から「クリエイティブ」に名前が変わることで、逆に「変化を恐れるな」と背中を押されているような気がしています。過去の先生たちがつくってきたものを、私たちは大事に継承しつつも、今の時代を生きる学生たち─つまりエンタメも含め、すでに領域を横断することが当たり前という社会で育ってきた人たちが求める形にもう一度デザインし直して、咀嚼して、一緒に考えていけるようになったらいいなと。何かをつくって表現することへの憧れや、リスペクトがある人たちに、ぜひCPの扉を叩いてほしいですね。
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